愛しかないとか思っちゃうヤバいってやばい
五十嵐隆はあまりラブソングを歌わない。正確に言うとあまり歌えない。本人がラブソングを書けないのをコンプレックスに感じるほど。
そんな中五十嵐隆が初めて歌ったラブソングが名曲"月になって"である。
君がいないなら
僕もいないから
そばにいるだけ
ただの言い訳
初めて書いたラブソングがこれってすごくないですか?
すごくシンプルで、誰が聞いてもすごく分かる〜ってなるし、最後の最後で"ただの言い訳"とつけるあたりでちゃんとシロップっぽくもなってる。独特の生々しさがちゃんとある。
しかもですよ、
五十嵐が初めて書いた判りやすいラブソング。それまで恋愛に関する曲の歌詞を理解していなかった事をコンプレックスとしていたので、この曲が出来た時はびっくりしたと語る。
Wikipediaより引用
無意識に作ってたのかよ。
なかなか理解できない。僕も今バンドをやっているが、ラブソングを書くときのんて「ラブソング書くぞ!!」って意気込まないと書けない。そういうモードにならないとなかなか書く気にもならない。書き終わったときにびっくりしたとかも思わない。書こうと思って書いてるんだもの。
彼にとって恋愛の歌詞は愚痴のような歌と同じベクトルで、ただの記憶の一部に過ぎないのかもしれない。全部同じように大事にしているものの中の一部。
でも、そんな中でも「五十嵐ぶっ壊れてんな」って思ったラブソングがあった。
これは恋愛に溺れなきゃ書けない。
タイトルにも一部を書いたが、今回はその曲について触れたいと思います。
Your eyes closed
五十嵐曰く「斬新の一曲」
Wikipediaにはそう書いてある。
多分当時聴いていた人たちも同じように思ったはず。「なんだこれは」と。
あまりの様子のおかしさに戸惑いを隠せなかった人もいた。
僕も当時はただ違和感を感じていて、あまり聴いていなかった。
なんていうか、その、なんだ。
恥ずかしいのだ。これ聴いてると。
歌詞の一部を載せるので是非刮目してほしい。
あなたと出会って
ただそれだけで
すばらしくなって
後悔なんかしないで
出だしの歌詞。
これを初めて聴いたときサスケの青いベンチを思い出したのよく覚えてる。(今ではなんでそれを思い出したのか思い出せない)
五十嵐もすばらしくなっちゃうんですって。ふふ。
出だしからすごく恥ずかしくなっちゃう。
シロップじゃなくてもこんな曲聴いてたら恥ずかしくなっちゃうよ。カラオケにあるけど酔っ払わないと歌えないよこんなの。素面でこんな歌詞を自分の口から発せられない
そんな調子で続いていきます
どうしてそこからそこに行く
行動が読めなくてドキドキする
ド キ ド キ す る
ドキドキって歌詞敢えて選ぶのってアイドルとかハイロウズくらいですよね。
でもなんとなく五十嵐っていつも言葉のチョイスがなんか一抜けしてるというか、こう、ちょっとダサめですよね。え?ダサいよね?
たまにすごく「うわ、だせ」って思うときあるんですけど僕だけですかね。
"生きているよりマシさ"の
視線合うとキョドッちまうよね
とか、
"mouth to mouse"の
そうぶっちゃけ始まりは流れ
とかさ、歌詞に使わないような言葉を敢えて使ってる。
一番ダサいのは
スカートの裾が描く
スイートメロディー
"scene through"のこの歌詞。
や。ディスってるわけじゃないんです。本当です。僕もすごいこの曲大好きなんです。サビの歌詞とかで普通に泣きます。でもやっぱりここは何年聴いても何回聴いてもダサい。
そこを踏まえた上で次がサビです。
愛しかないとか思っちゃうヤバい
抱きしめてると死んでもいいやって
それじゃ嘘つきか
たいしてすごいこと起こらないけど
全部満たされた気持ちになる
愛しかないとか思っちゃう
のは分かるんです。恋愛でベロベロになってそれだけで頭がいっぱいになっちゃうの分かるんです。
でも次ですよ。
ヤバい
"い"だけ平仮名にするあたりすごくダサい。LINEかよ
愛しかないとか思っちゃう 笑 まじヤバい卍卍卍
みたいになってる
本当にすごく斬新な切り口のサビだなと思ったんです。
でも僕は次のフレーズでハッとなるんです。
抱きしめてると死んでもいいやって
それじゃ嘘つきか
歌詞のオチの部分に保険をかけるような言葉を入れるところが五十嵐の歌詞の特徴だと僕は勝手に思ってるんですが、
ここで「あ、やっぱりシロップの歌だ」って思う。
あぁ、やっぱり永久だとか思ってる反面どこかで信じてない自分もいるんだな。やっぱり五十嵐だと思ったら2番で
抱きしめてると死んでもいいやって
それも嘘じゃない
やはり酔っ払っている。こいつは酔っている。
素面であるはずがない。
完全にメロメロだ。大好きじゃん。
ここだけ読むとね。
愛しかないとか思っちゃうヤバい
抱きしめてると死んでもいいやって
たまに思うんだ
最後の最後ですよ。ここで五十嵐は抱きしめたまま死ねるのは嘘じゃないと言っていたのに、ここで"たまに"という言葉を使うんですよ。
死んだりは結局できないけど、こうやって抱きしめ合ってるとこのまま死んでも幸せかな‥なんて、思うこともあるよ。たまにね。
そんくらいのニュアンス。
一般的な男であれば大体それくらいの愛だ。めっちゃ分かる。
セックスの後抱き合ってるだけで思うこともある。
でも次の日には思わないのだ。思わないよ。
仕事に行かなきゃいけないし、毎日毎日生きたいとも死にたいとも思わない、ただ無意識にキーボードを叩いて暮らす生活ですよ大体。
そんな中の下、不幸よりの普通を暮らしている人からすればこの感覚はすごい分かるのだ。
毎日してるセックスの後の得体の知れない幸福感。温もり。
あぁ、なんて幸せなんだ。死ねる。
こういうことなんだと思う。
結局五十嵐も恋愛の前では普通の男であった。よかった。
たいしてすごいこと起こらないけど
全部満たされた気持ちになる
不幸寄りの人じゃなきゃ書けないよな。よく考えたら。
きっと"ヤバい"という表現も、それ以外に表す言葉が無かったんだと思う。
普段人との接触を極力避けてる人が、急に好きになったり嫉妬したりと、色んな感情が芽生えたらどうなるだろうか。
パンクする。恋愛のオーバードーズである。
処理しきれないのだ。周りも見えなくなるのだ。
だから彼はきっとこの気持ちを"ヤバい"の3文字に託したのだ。
とにかくヤバい。ヤバいのだ。
とにかくそんなヤバい曲が入った"mouth to mouse"というアルバムがある。
クマのリュックとローマ帝国の配下で君がまゆげを無くす歌や、五十嵐は先端恐怖症なので最先端に興味がないことを知る曲などが入ってるので興味がある方は是非。
このアルバムが一番今は聴いてるかもしれない。
"ハミングバード"と"希望"がすごい好きです。
苦しんだ割には
実りは少ないな
缶チューハイを今夜も
2缶空けました
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